「静岡県富士宮市はなぜ雪が降らないのか？」その理由を解説

冬にほとんど雪が降らない富士宮市。富士山のふもとに位置しながら「なぜ他の地域と比べて雪が降らないのか？」不思議に思ったことはありませんか？　この記事では、地形や気候、そして自然現象がどのように影響しているのかを解説します。

富士宮市は雪が降りにくい

上記動画は、2020年2月30日に撮影されたものですが、富士宮市内にまったく雪がないというのがよくわかります。

沖縄県、宮崎県に次いで3番目に雪が降らない県といわれている静岡県。なかでも富士宮市は冬でも雪がほとんど降らない地域として知られています。同じ静岡県内でも、山間部や他の地域では雪が降るのに、なぜ富士宮市ではそれほど雪が降らないのでしょうか？　その理由を順に解説します。

地形と気候の影響

撮影：筆者

上記写真は、2024年12月16日に撮影しました。富士宮の市街地に雪はまったくありません。富士山の山頂も雪は少なめです。

筆者は2024年10月31日に東北から富士宮市に移住したのですが、富士山はもちろん富士宮市内に雪はありませんでした。

雪は降らないと聞いていたので、スタッドレスタイヤは必要ないと思い押し入れにしまいました。

雪国育ちの筆者には、信じられない気候なのです。

では、なぜ富士宮市は雪が降らないのでしょうか？

それは、気候や地形、風、黒潮などの自然現象が大きく影響しています。

海洋性気候の影響

富士宮市は太平洋に面した静岡県の一部であり、冬季には太平洋からの温暖な空気の影響を受けます。このため、気温が比較的高く雪よりも雨が降るのが多くなります。

富士山の影響

富士山は北西からの季節風を遮る巨大な障壁として機能します。このため、寒気が富士宮市まで南下しにくくなり、降雪の条件が整いにくい状態になります。その結果、降雪が少なくなるのです。

暖かい黒潮の影響

静岡県全体に影響を与える黒潮は、冬でも比較的暖かい海流です。この黒潮の影響で、富士宮市周辺の気温が下がりにくくなります。なので、雪が降る条件が整いにくくなるのです。

南アルプスの影響

南アルプスの山々は、冬の季節風や寒気を一部遮る役割を果たしています。その結果、富士宮市周辺には十分な寒気が届きにくくなる状況となり、雪が発生しない環境が作られているのです。

上記のように、さまざまな条件が重なっているため、富士宮市は雪が降らない特別な地域であると言えるでしょう。

2023年の気象年表

出典：富士宮市公式HPより

これは2023年のデータですが、これを見ると富士宮市は年間を通して風がそれほど強くなく年間を通して温暖な気候であることがわかりますよね。

夏の7月と8月の最高気温は、35.9℃でした。

次に動画を参考に他の地域と比較してみましょう。

他の地域との比較

上記動画は2020年12月18日に撮影されたものですが、御殿場市と富士宮市では富士山の見え方が違うのがよくわかりますね。

同じ静岡県内でも、御殿場市や箱根周辺は標高が高く、気温が低いため雪が降りやすい環境にあります。一方、富士宮市は標高が比較的低く、温暖な海洋性気候の恩恵を受けているため、雪が降るのというのは珍しくまれな現象なのです。

この動画は、2022年1月6日に撮影されたものですが、この日、静岡県内の各地に雪が降ったようです。

しかしながら、このなかに富士宮市の映像は見当たりません。

それでも、その年によって違いますが富士宮市にも雪が降ることがありますので紹介します。

富士宮市内でも雪が降る地域がある

上記動画は、2014年2月に撮影されたものですが、富士宮市北山～白糸の滝周辺に降った雪の様子がよくわかる動画です。

富士宮市内でも、標高が高い地域や山間部では雪が降ることがあります。上記動画の通り、特に雪が降る地域は富士宮市北部に広がる朝霧高原周辺。 標高が約800〜1,000メートルと高く、冬季には雪が積もることも多い場所です。 冬場はスタッドレスタイヤかチェーンが必要になるところがあります。道路の凍結も発生しますので、ご注意ください。

富士宮市では雪は珍しい

さまざまな条件が重なりあって雪が降らない富士宮市。地形や気候、そして海流の影響が組み合わさり、富士宮市では雪が降りにくいという特徴が生まれています。そのため、冬場に雪景色を楽しむには少し足を伸ばして、富士山五合目や御殿場方面に行く必要があります。

雪がないおかげで、冬でも比較的快適に過ごせる富士宮市。筆者も自然の恵みに日々感謝しています。あなたもこの温暖な気候と自然を活かす富士宮市を訪ねてみませんか？